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ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ秘密その1〜高橋明也さん(三菱一号館美術館館長)

三菱一号館美術館館長、高橋明也(たかはし・あきや)さんにお話をうかがいます。高橋さんは19世紀フランス美術史を専攻され、現在は三菱一号館美術館館長として展覧会を企画するほか、研究、執筆、講演などで多彩に活躍しています。そんな高橋さんに3月1日から三菱一号館美術館で開催される「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン展を楽しむヒミツ」について教えてもらいました。

ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ秘密その1 
マリー=アントワネットお気に入りの女性画家

フランス国王ルイ16世王妃、マリー=アントワネットはご存知のように波乱の生涯を送りますが、文化的な感性が高く、ファッションリーダーのような存在でした。王妃と同じ1755年に生まれたヴィジェ・ルブランは王妃に気に入られ、お抱え画家として見事な肖像を何点も描き、彼女のイメージメーカーの役割を担いました。王妃ら宮廷の華麗な姿をご覧ください。

ヴィジェ・ルブランはマリー=アントワネットと同世代の女性ということで、気心の通じる友人でもありました。写真などなかった時代ですから、肖像画というものはその人のイメージをつくる重要な役割をもっていました。マリー=アントワネットはルブランの描く肖像画を気に入り、お抱え画家として重用します。肖像画のなかには、その当時、最先端のシュミーズのようなかわいい衣装を着ているものがあります。ただ、庶民からはその姿はふしだらで享楽的な女性という見方をされてしまいました。彼女に対する悪いイメージを払拭しようと、子供たちと一緒にいるところを描いた肖像画により、家庭的であり、国の母であるというイメージをつくろうとしたこともあります。

 

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン
《フランス王妃、マリー=アントワネット》
パリ、個人蔵(C.P.D.H.S)
Photo : Art Go, Florence Dumas

 

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高橋明也さん
Akiya Takahashi
三菱一号館美術館館長。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。後に国立西洋美術館研究員。19世紀フランス美術史専攻。1984年より2年間、文部省在外研究員としてオルセー美術館開館準備室に在籍。2010年10月にはフランス芸術文化勲章を受章した。

 

「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン」展は3月1日〜5月8日まで開催。詳細はHPをご覧下さい。http://mimt.jp/vigee/

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