アート Art

フランスに学ぶアートな暮らしー5〜杉浦岳史さん(パリ在住ライター)

芸術の都、フランスの人々はどんな風にアートを楽しんでいるのでしょうか?
今回はコンテンポラリー・デザインについてです。

コンテンポラリー・デザインというジャンル

コンテンポラリーアートの世界は、絵画や彫刻といった以前からの表現方法を超えて、いまや映像、インスタレーション、パフォーマンスと、その領域の幅を大きく広げています。そんななか、家具、生活用品などのデザインにアートの世界観を重ねていく作家たちも多く、ひとつのジャンルを形成しています。ソファ、照明、花器など、カタチとしてはあくまで暮らしのなかで使われるもののデザインですが、商品として広く消費者に販売するのではなく、それぞれ一点一点がコレクターなどに提供されるアート作品です。


ギャラリー=実験スペース

パリにはこうしたジャンルを扱うギャラリーも多く見られます。そのひとつ、サンジェルマン地区にある「Galerie Kreo(ギャラリー・クレオ)」は、コンテンポラリー・デザインの発信地として名を知られるギャラリー。ここは単にデザインの面白いものを選んで扱うばかりでなく、「espace-laboratoire(実験スペース)」とスタッフが呼ぶように、有力なアーティストたちとともに新しいデザインを研究し、つくっていく場所。ほかの絵画や彫刻などを扱うコンテンポラリーアートギャラリーもそうですが、自らが見込んだアーティストの創作活動にかかわり、時にはその資金を提供するところが、フランスをはじめとする欧米のギャラリーの特徴的なところです。


アートとデザインのあいだ

そもそもデザインといえば、何かある目的のために造形されるものですが、そのなかでどれだけ面白い表現ができるか、人を喜ばせたり、ハッと驚かせたり、メッセージをなげかけたりできるかという点で、アートとはつかず離れずの関係にあります。このギャラリーはその境目を自由に行き来しながら、「なるほど!」と思いもよらなかったアイディアや、時には突拍子もない驚きのカタチなど、実に豊かな表現をアーティストとともに試みつつ、人とデザインとアートの関係、その新しい可能性をさぐっています。


さてこのギャラリー。展示会としての作品発表のほかに、世界に名を知られたアーティストのデザインを集めたコーナーもありました。特に照明作品が充実です。

Galerie Kreo ギャラリー・クレオ
31 rue Dauphine
75006 Paris France
http://www.galeriekreo.com/

写真はすべて、パリの「ギャラリー・クレオ」にて、現在開催中の展示会(<Materials for Consideration> 5/15まで)
©Mathieu Roquigny COURTESY GALERIE KREO

杉浦岳史さん
東京で広告ライター、ディレクターとして活動ののち2009年に渡仏。現在パリの高等学院IESAに在籍し、美術史、アートマネジメントやアートマーケットを学びつつ、執筆活動をつづける。
http://ameblo.jp/sucreweb/

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