アート Art

フランスに学ぶアートな暮らし−6〜杉浦岳史さん(パリ在住ライター)

芸術の都、パリの人々はどんな風にアートを楽しんでいるのでしょうか?
今回はアートフェアについてです。

パリのアートフェア

モーターショーをはじめ各ジャンルで開催される商業フェアなどと同じように、現代アートの世界にも見本市=アートフェアがあって、フランス、アメリカ、ドイツを中心にした有数のギャラリーが一堂にそろい、コレクターやアーティスト、アートファン、美術館関係者などが最新のコレクションや掘り出しものを求めて世界中から集まってきます。そんなアートフェアのひとつ「アート・パリ」が、先日パリのグラン・パレで開催されました。今年はちょうどその前に、デッサンを中心にしたフェア「Salon du dessin contemporain」がルーブル宮殿内の施設で、そしてデザインとアートの見本市「Pavillon des Arts et Designs Paris」がチュイルリー公園内でつづけて開催され、この時期、パリはその愛好家と関係者でにぎわいました。

ふだんは見られないアートも出現

国際的なアートフェアといえば、スイス・バーゼルの「アート・バーゼル」、ロンドンの「フリーズ・アートフェア」、そしてここパリで11月に開かれる「FIAC」などが有名。「アート・パリ」は「FIAC」に比べると少し小ぶりですが、それでも260の候補から審査によって厳選された120のギャラリーがスタンドを構え、所属するアーティストの作品を披露します。
こうしたアートフェアは、訪れるビジターにとってアートの今がわかる絶好のチャンス。作品は絵画やデッサンはもちろん、彫刻、オブジェ、写真、映像などあらゆるジャンルにおよび、そしてギャラリーにはおけないような超巨大な彫刻作品が展示されるのも、約45mもの高い天井と広いスペースをもったグラン・パレならではのこと。展示スペースいっぱいに並んだスタンドは、目についた作品だけを見ていってもかなりの時間がかかります。スタンドでは、フランス語がわからなくても、英語の話せる方なら、ギャラリストと話をしてみるのもよいでしょう。たいていの場合、尋ねれば価格も教えてくれます。
一般公開の前夜にはギャラリーの展覧会と同じようにヴェルニサージュ(特別招待)があって、関係者とコレクターなどの招待客が集合。アートフェアによっては、稀少な展示作品の多くが一般公開前のこのタイミングまでに売約済みになるとも言われます。

会場の外にも広がる芸術

昨年の11月に開催された「FIAC」では、チュイルリー公園も会場の一部になって、噴水や樹木と一体になった楽しい作品がたくさん展示されました。さらにサン・ジェルマンやマレなどギャラリーが多く集まった地区では「ショウ・オフ」と称して、この「FIAC」の期間にあわせていくつものギャラリーが新しいアーティスト作品や展覧会を発表。まるでアートのお祭りのような雰囲気がパリを包みます。アートを振興しながら、観光事業も活性化する・・・そんな街の盛り上げ方が「芸術の都パリ」はやっぱり上手です。


写真上から 「アート・パリ」の会場入口。当初万博のために造られたグラン・パレは、今もフェアの会場として利用される。/積極的に商談も行われる。

写真左上 秋の「FIAC」の風景。コレクターやアートファンでいっぱい。
写真右上、中段 チュイルリー公園も会場の一部に。
写真左下 スタンドの使いこなしもギャラリーによってさまざま。

杉浦岳史さん
東京で広告ライター、ディレクターとして活動ののち2009年に渡仏。現在パリの高等学院IESAに在籍し、美術史、アートマネジメントやアートマーケットを学びつつ、執筆活動をつづける。
http://ameblo.jp/sucreweb/

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