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震災発生後のいま、伝えたいことその2〜島田雅彦さん(作家)

作家の島田雅彦さんに「震災発生後のいま、伝えたいこと」についてお話をうかがいます。
今回は「絆」についてです。


震災発生後のいま、伝えたいこと その2 絆

祈りが通じる世界には絆があります。人は他人とつながっている間は、自分からは死なないんですね。水などのライフラインとか食料とか、雨露しのぐ場所というのはもちろん大事だけれども、他人とつながっていること、他人に支えられているということ、あるいは逆に、他人を支えられるということ、これによって人はかろうじて生きているともいえるのです。

だから自殺する人が、それはひとつの権利でもあり、自由でもあるんだけれども、命の電話のように、電話とかネットとかで他者とのコミュニケーションが続いていれば、すぐには死なないんですね。あるいは自分には、自分を愛してくれている身内がいるとか、自分を信頼してくれている友人がいるとか、そういうつながりがあるとそんな残酷なことはしないんですね。どうせ俺しかいないんだからとか、俺ひとりなんだからどうなったっていい、これは他人との一切の関わりを断った人がしばしば陥る心の地獄であって、なんらかの形で他人とつながっているかぎり、人はそんなにひどいことはしないようにできているのです。(談)

 

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島田雅彦さん
Masahiko Shimada
作家。1961年東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。在学中の1983年『優しいサヨクのための嬉遊曲』で小説家デビュー。主な作品に『彼岸先生』(泉鏡花文学賞)、『僕は模造人間』、『自由死刑』、『退廃姉妹』(伊藤整文学賞)などがある。オペラ台本にはオペラ『忠臣蔵』、『Jr.バタフライ』がある。文芸家協会理事。法政大学国際文化学部教授。東日本大震災の復興支援として、「復興書店」をたちあげる。

復興書店
「優先順位からすると本とか言葉はあとからついてくるもので、だからこそこの支援活動は急を要するわけではないけれども、息が長くなければいけないという性質のものです。また、心のダメージというのは、おいしいものを食べたから治るわけじゃないし、薬で治せるわけじゃないし、長くかかると思うんですよね。だからゆっくり効く言葉の薬を処方し続ける感じでやりたいと思います」
http://www.fukkoshoten.com

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